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環境修復保全

2022年度( 2022年 4月〜 2023年 3月)活動報告)

1-1) カンボジア国東部における生物多様性および森林による炭素貯留能の強化事業 CAMPAS(フェーズ6)

本事業では、カンボジア国東部のラタナキリ州とモドルキリ州を対象として、在来樹種の植林やアグロフォレストリーの導入による里山保全、非木材林産物の利用を通したコミュニティの生計手段の確保、ジェンダーに配慮した自然資源管理グループの形成等に取り組んでいます。本事業における植林活動は2022年6月に完了しましたが、フォローアップとして現地住民と協働してのモニタリング活動を継続しています。


植林地におけるモニタリング活動(1-1)
(カンボジア国モンドルキリ州)

1-2) カンボジア国コンポンチャム州における持続可能な森林管理を目指した植林事業(フェーズ3, 4)

森林密度の減少が著しいコンポンチャム州は、気候変動に伴い頻発する洪水や干ばつの影響を受け易く脆弱な地域です。貧困が深刻な地域住民にとって、これら災害の緩和は喫緊の課題であり、森林面積の増大により、これらの災害による影響の緩和が期待されるとともに、地域住民の生計向上が期待されます。そこで本事業では、急速に森林が減少する地域において、地域住民の生活に深く根付いている寺院や小学校を中心に、植林活動とともに植林や森林保全の重要性に関するワークショップを実施し、持続可能な森林管理を推進しています。
2021年度(フェーズ3)に植林活動を行ったプレイチョール地区では昨年度の植林地以外にもエリアを広げ、2022年6月には村内の寺院周辺とため池周辺に植林活動を拡大しました。牛による食害はあったものの、植林管理グループが自主的に管理エリアの分担を決め、定期的な潅水やモニタリング活動を行っており、苗木の順調な成長を確認することができました。
2022年度(フェーズ4)では2022年7月にコンポンチャム州チャムカーレウ地区の小学校および寺院にて植林活動を行いました。また、11月のモニタリングで生存率を調査した結果、小学校では70%、寺院で65%の生存率を確認しました。牛による食害に加えて土壌からの蒸発が著しく、植林管理グループが定期的な潅水を行っているものの、生存率は高くない結果となりました。今後も厳しい乾期が続くため、定期的な潅水を継続する予定です。


ため池周辺の共有地での植林活動(1-2)
(カンボジア国コンポンチャム州)

1-3) カンボジア国東部の里山再生を目指した緑化推進事業(フェーズ2)

本事業では収奪的な森林開発により森林減少・劣化が進むカンボジア国東部において、人と自然が共生できる里山の再生を目指し、植林活動を展開しています。事業地であるカンボジア国東部クラチェ州ならびにモンドルキリ州は元来豊かな森林と多様な生物種に恵まれた地域で、以前は生活のために現地住民が薪炭材やキノコ等を収集するのみで、持続可能な範囲内で森林資源が利用されていました。しかし1970年代以降、森林資源の収奪が始まり、経済開発が優先して進められています。その結果、現在でも貧困層による森林伐採が後を絶たない状況にあります。聞き取り調査の結果、事業対象地域では森林減少に伴い薪炭材の確保も困難になっていることが明らかになっています。また、これらの森林伐採により、地域の森林と生物種が減少し、環境リスクも高まっています。このような背景のもと、2022年7月にはクラチェ州スヌオル郡の2つの小学校とモンドルキリ州センモノロム郡の3つの小学校において植林活動を実施し、12月にはモニタリングを実施して生存率を調査しました。モンドルキリ州の各小学校では70%、90%の生存率、クラチェ州の各学校では85%、80%、50%の生存率でした。特に生存率の低かった小学校では、正門やグランド周辺域での生存率が著しく低かったため、2023年6月に予定している補植活動で防護柵を設置するなどの対策を施します。また、生存率や苗木の成長についてコンペティションを実施して、優秀校には苗木を贈呈する予定です。こうした活動を通して、将来を担う子供たちが森林の重要性について理解を深めることが期待されます。


小学校における植林活動(1-3)
(カンボジア国クラチェ州)

1-4) カンボジア国コンポンチャム州の農山村域における環境修復を目指した植林事業(フェーズ2, 3)

都市域の近郊であるメコン河流域に位置するコンポンチャム州は、農業が社会的・経済的基盤となっており、大規模な農地やプランテーションに開発されてきた地域です。そこで本事業では、急速に森林減少が進み荒廃化した地域における環境修復を目指して、植林活動とともにワークショップを実施し、森林保全の重要性について地域住民の理解を促しています。
フェーズ2の活動では、2022年5月から6月にかけてコンポンチャム州内全10 郡における学校、寺院、道路沿い等の共有地を対象に、地域住民延べ493名と協働して植林活動を実施しました。そして、各郡の森林管理住民グループを中心とした地域住民が、州内全10郡の植林地(学校、寺院、道沿い等の共有地)における除草や潅水等の保育作業を継続するとともに、生存率調査、補植活動を実施しました。環境啓発活動では、森林と生物多様性保全の重要性に関するワークショップを開催するとともに、持続可能な森林管理に関する知識・技術の向上を図る研修会を各郡で実施しました。植林活動に参加した地域住民へのアンケート調査では、100%の参加者が地域における森林資源を増大する必要性を認識しており、内半数以上の住民がワークショップを通じて森林から得られる多面的メリットについて、初めて理解したことが明らかとなりました。また、参加者の約80%は植林活動の経験を既に有していましたが、残りの約20%は本事業で初めて植林活動を経験しました。森林環境に対する関心や問題意識を引き出し、環境問題解決への具体的な行動(植林活動など)に繋げる上で、草の根レベルで環境教育を継続する重要性を改めて認識する機会となりました。
2023年から開始したフェーズ3の活動では、引き続き、州森林局と地域住民が中心となって、雨期に予定されている植林活動に向けた準備を進めています。


農山村域における環境修復を目指した植林事業(1-4)
(カンボジア国コンポンチャム州)

特定非営利活動法人環境修復保全機構(普及センター)が実施する普及プログラムは、つながる募金、株式会社スリーピラーズ、株式会社ファイブセンスグラフィックス等を通してご寄付頂いた方々をはじめ、日本国内のみならず世界各地における多くの市民の方々からのご支援に支えられています。
また2022年度、世界銀行、国連環境計画( UNEP)、カンボジア国環境省、カンボジア国教育省、日本国外務省、独立行政法人国際協力機構、独立行政法人環境再生保全機構、公益社団法人国土緑化推進機構、公益財団法人日中友好会館より、助成や受託を受けて実施しております。
ここに記して感謝申し上げます。

 

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